フェスタ3日目・東京シティフィル

3日目は東京シティフィルの登場です。この日も公開リハーサルがあったようですが、平日は時間の制約で観戦できません。
この会は開演が夜8時、通常の会より1時間遅いスタートでした。

ということで川崎に着いたのはよいけれど、大分時間に余裕があるので、食事を摂ってしまうことにしました。
夏休みの金曜日ということもあって、どこも満員。何件か覗いた結果、長崎ちゃんぽんの店に席を見つけました。少し遅れて隣に陣取ったカップルもミューザ組。ラフマニノフを話題にしていました。頼もしいぞ、若者たち。

飯守泰次郎常任が指揮する東京シティフィルが選んだ作品は、ホルストの惑星1曲。それも最近マシューズによって補完された冥王星「再生する者」付きの版による演奏です。版による、というのは味噌があって、それは後ほど。
これはミューザ仕様の企画ではなく、26日に行われた第210回定期演奏会のメインプログラムでもありました。
舞台裏の女声合唱は東京・シティフィル・コーア。

今日の入りは昨日の読売日響よりやや多いかな、という程度、金曜の8時にしては少ない感じですね。クラシックが夏の宵の娯楽として定着するには道程尚遠し、という感想です。
私は東京シティフィルを聴く機会は極めて少なく、楽員の名前と顔が一致しません。ただ一人知っているのはコンサートマスターの戸澤哲夫氏、モルゴーアQの第2ヴァイオリンとしてもお馴染みです。

ところがこの日登場したコンサートマスターは戸澤氏ではありません。何という方かプログラムをひっくり返しても名前が見当たりませんでした。普段フォアシュピーラーを努めている方なのか、客演コンマスなのか、その辺も分からず仕舞いでした。
このコンサートマスター、やや線が細い印象で、所々に登場するソロも少し物足りなく感じたのは、連日様変わりでオーケストラを聴いている所為でしょうか。

マエストロ飯守は音楽一筋の方です。指揮はズバリ言って不器用。「ふるとめんくらう」二代目という感じがします。その飯守氏、特には指揮台上で足を踏み鳴らすほどの熱演。オーケストラも実力を一杯に出し切ってこれに応えました。
飯守泰次郎と言えば、どうしてもドイツ音楽、特にワーグナーを連想します。ホルストは氏にとっては珍しい部類のレパートリーではないでしょうか。

その先入観もあって、どうしてもドイツ的な響きに聴こえてしまいます。ある一節などはワーグナーそのものの様に響いたのはご愛嬌、というか新鮮な感じすらしましたネ。
昨日の滑らかな美音とは好対照、ゴツゴツとした荒削りな響きもまた魅力と申せましょうか。

さて初体験の「冥王星」。学会から格下げされた冥王星・プルート Pluto ですが、これにはチョッとした仕掛けがあるんですね。
これを演奏する場合、前曲の海王星を楽譜どおりに終わらせず、フルートとピッコロの高い持続音を鳴らしながら、そのままアタッカで冥王星に入っていきます。冥王星そのものはホルストが使ったオーケストレーションをそのまま使い、ホルストの作風から外れずに進められます。
スコアを見たことがないのですが、5拍子で書かれているようで、これが冒頭の火星に対応して全曲の統一を計っているようです。

そして全体の最後、再び海王星の最後の小節をそのまま利用して、無伴奏の女声合唱で終えます。
ほほー、と感心しました。これが今後も生き長らえるか否かは予測の外ですが、アイディアとしては面白いと思いましたね。

以上、初体験の冥王星を聴きどころ、と見た感想です。

 

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